独立した電子出版権創設に関する「中間まとめ」に対する意見表明

(文化審議会著作権分科会出版関連小委員会「中間まとめ」に関する見解)

 

20131017

一般社団法人日本ペンクラブ

 

日本ペンクラブは、「中間まとめ」において提案されている独立した電子出版権の創設に反対する。経済原理にのみに則って出来上がった電子出版権は、インターネット空間における言論表現の自由のあり方を揺るがしかねず、既存の紙メディアにおける出版行為にも重篤な影響を及ぼすものと考える。

 

本小委員会における問題点は、「はじめに」における電子書籍/電子出版の定義に顕著である。議論の根幹にかかわる重要な定義が《便宜的に》呼称されるようなことがあってはならない。ここでいう電子書籍はeBookというよりは広く読みもの系のDigital Contentsを総称しており、権利の主体、客体の範囲が不明確である。

自炊代行、プラットフォーム事業者による作品のリジェクト/配信停止、なりすましによる盗作作品のアップロードなど、デジタル環境下における出版物や著作物をめぐるトラブルは多様に存在するにもかかわらず、これらについては議論の形跡も見られない。またユーザー(読者)にとっても、配信サービスの停止によりひとたび購入した電子書籍や記事などの電子的な読みものが接続不可になるリスクについても解決されていない。

そもそも本小委員会は、著作者が表現する言論その他の方法を出版という行為を通じて公衆に伝達する役割を担う出版者に対して、このデジタルネットワーク社会においてどのような権利を付与すべきかを検討する場であったはずである。関係者、関係団体へのヒアリングも足りていない。本質から外れた議論を立法事実として認めるわけにはいかない。

したがって日本ペンクラブは、今般導き出された独立した電子出版権の創設について反対すると同時に、議論の差し戻し、もしくは新たなメンバーによる議論を要求する。

以上

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