新型インフルエンザ対応に関し

政府の取り組みの見直しを求める声明

 

日本ペンクラブは、2011年の新型インフルエンザ特措法の審議に際し、甚大な被害をもたらす可能性がある強毒性新型インフルエンザの危険性を十分に認識し、国が十分な対応をとることを求めた。そしていま、同法が施行されるに至り、いまだ住民の安心・安全が十分に守られる体制が準備されているのか、強い不安を禁じえない。したがって改めて、以下の項目につき、国の積極的かつ迅速な対応を求めるものである。

 

1. 法は、強力な人権の制約条項を含む。メディアに対する取材・報道に関する要請が指定公共機関制度等を通じてなされる予定であるが、具体的には何を予定しているのか、集会の自由についても、全面的に規制の対象となっているが、たとえば公民館の貸し出しや図書館利用など、どの範囲でどのような強制力を伴う規制を予定しているのか、等の運用上の指針を速やかに示すことを求める。最長2年間にわたり表現活動が事実上ほぼ全面的に規制されることは、憲法上許されない。

 

2. 法は、全国民に対するワクチンの接種を準備するとしている。この場合、接種を希望しない住民に対し、地方行政上、一切の不利な取扱をしないことを明らかにすることを求める。たとえば、当人も含め家族の中に未接種がいても、学校や職場への立ち入りに関しては一切の区別を設けないことをさす。また逆に、接種を希望する者については、人種・国籍や滞在の種別等によることなく(たとえば不法就労者も含め)、日本に滞在中の何人に対しても、一切の区別なく接種を行なうことを求める。そのためのワクチンの準備は、現在の計画では十分なものとは言えず、早急な計画の見直しと強化を求める。

 

3. 法は、ほとんど審議もなく、問題点が十分国会の場で議論されることなく成立した経緯を有する。さらにこれまで、有識者会議において、法の具体的な運用が検討されてきたが、現状の内容では、人権侵害のおそればかりでなく、プレパンデミックワクチンの扱いに関しても、非現実的で無責任なものとなっている。このままでは、現実にパンデミックが発生した際、全く対処不能の混乱におちいることが予測される。もう一度内容を見直し、公正で現実的な運用方針の策定を求めるものである。

 

2013315

 

社団法人日本ペンクラブ

会長 浅田次郎

環境委員長 中村敦夫

言論表現委員長 山田健太

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