●「新型インフルエンザ対策を求める声明」
人類は、黒死病(ペスト)やスペインかぜなど、これまで幾度となく、世界的な規模の疫病の大流行(パンデミック)に見舞われた。その度に、人類は犠牲者たちの死屍累々の惨状を目の当りにし、人々の幸せや平和な生活が脆くも崩れ、文化や芸術が大きく停滞するのを体験して来た。
いままた人類はこれまで遭遇したことがない未曾有の疫病、高病原性H5N1型強毒性鳥インフルエンザの脅威に直面している。
日本ペンクラブは、世界の人々の幸福や平和な生活、そして人類の相続財産である芸術や文化を守る立場から、新しい疫病の脅威に無関心ではいられない。
WHO(世界保健機関)は、H5N1型鳥インフルエンザ・ウイルスが、ヒト型ウイルスになるのは時間の問題であるとしている。
すでにアジア地域を中心に、人がH5N1型ウイルスに感染した事例が380件以上もWHOへ報告されている。その致死率は58パーセント以上という高いものだ。
強毒性鳥インフルエンザがパンデミックになれば、社会の担い手である人々が感染して倒れ、諸官庁も一般企業も機能を停止する。感染患者が殺到して、病院や医院など医療体制や救急体制は麻痺状態に陥る。
担い手の不足から交通機関や輸送機関が動かなくなり、輸出入も止まるだろう。食糧自給率が4割にみたぬ日本は、輸入が止まればすぐに深刻な打撃を受ける。食糧備蓄が尽きれば、病死以外に餓死者すら出ることになるだろう。水道や電気、ガスなどのライフラインも危うくなる。水源地がウイルスに汚染されることも想定しなければならない。
警察や自衛隊も脆弱になるので、治安は乱れ、犯罪も多くなる。日本の社会は政治的経済的にも、社会的にもパニックとなり、大混乱に陥るだろう。こうした事態は国や社会の存亡の危機でもある。
新型インフルエンザ対策として最も有効なパンデミックワクチンは発生後から生産が始まるもので、現状では1億3千万人の国民全員に行き渡る分を作るためには、どんなに急いでも半年以上はかかる。この半年の間、国民は新型インフルエンザの二波、三波の猛威に晒され、多数の死者を出すことになろう。
それを防ぐにはプレ・パンデミックワクチンしかない。プレ・ワクチンはパンデミックワクチンのような効き目はないが、新型ウイルスへの基礎免疫を作る効果があるとされている。それを接種していれば、たとえ感染して発症しても、全身感染や多臓器不全は起こらない。致死率も低くなる。プレ・ワクチンを打って人口の7割の国民が免疫を持っていれば、パンデミックは防ぐことが出来るという試算もある。
日本ペンクラブは、パンデミックワクチンが出来るまでの間、この危機的事態を乗り切るため、プレ・パンデミックワクチンで対応すべきであると考える。
政府・厚生労働省は、このプレ・パンデミックワクチンを3000万人分しか生産備蓄しないとしているが、日本ペンクラブとしては、アメリカやスイスのように、全国民分のプレ・パンデミックワクチンの増産に踏切ってほしい、と切に要望する。併せて、プレ・パンデミックワクチンの接種を希望する国民、在住外国人全員に行き渡るようにしてほしいと強く訴える。
2008年6月20日
社団法人 日本ペンクラブ


