●日本ビデオ倫理協会に対する公権力の介入に抗議する声明
2008年3月1日、警視庁は刑法猥褻罪容疑で日本ビデオ倫理協会審査部統括部長を逮捕した。
日本ビデオ倫理協会は自主的な審査機関として、制作者からの独立性をうたい、かつ自主規制と表現の自由との調和を図るため、第三者機関として学識経験者による評議委員会を設け、長年にわたって活動してきた実績を持つ団体である。
その活動経緯のなかでは、乱立する審査機関の状況を改善するため、審査基準の統一化を図る努力をしたり、昨年の強制捜査の後には、法律専門家による有識者会議の提言を受け、さらなる独立性や透明性を確保するための改善をしたり、自助努力の途上にあったことが窺える。
このような状況のなかで、昨年8月の強制捜査以来、半年以上にわたって継続的な事情聴取を実施し、事実上の日常業務の停滞を引き起こすとともに、審査現場の責任者を逮捕することは、自主規制機関の活動を真っ向から否定するものといわざるをえない。 一連の公権力の振る舞いは、表現行為が罰則による一律的な法規制に向かないものであるという基本的理解に欠けるのであって、本来的に予定されている表現者の自主規制や自助努力を否定するものである。むしろ、日本ビデオ倫理協会が自主的な努力を引き続き行える環境を回復できるようにサポートすることこそが、公的機関の役割であるといえる。
日本ペンクラブは、表現の自由を擁護する立場から、本件に見られる業界の自主的な努力を否定する公権力の介入は、憲法が要請する表現行為に関わる社会制度を壊すものとして看過できないので、強く抗議する。
2008年3月17日
社団法人 日本ペンクラブ
会長 阿刀田 高


