2006〜2007

北朝鮮の核実験に反対して、関係諸国に非核兵器地帯の拡大を訴える

 広く知られているように、非核兵器地帯は、東南アジア(1995年バンコク条約)、アフリカ(96年ベリンダバ条約)に拡がっている。さらに冷戦下において成立していたラテンアメリカ(68年、トラテロルコ条約)、南太平洋(85年、ラロトンガ条約)を加えるなら、南極を含む南半球全体が非核兵器地帯という光明に照らされているといってよい。当然、この国際条約による断乎たる南半球諸国の行動は北半球へも好ましい影響を及ぼして、いまでは大気圏外の宇宙も、海底も非核兵器地帯になっている。


 加えてわれわれは、今年9月8日に調印された中央アジア非核兵器地帯の実現に、わが日本政府の大いなる協力があったことを知って誇らしく思い、わが国の民間に東北アジア非核兵器地帯構想のあることを知って人類悲願の核廃絶への、一条の、しかしたしかな光を見てもいた。しかス。

 しかるに6日後の10月9日午前10時35分、北朝鮮北東部で核爆発と思われる振動が確認され、北朝鮮の中央放送は昂然と、地下核実験を実施したことを発表した。これは国際社会を愚弄する言動であって、もちろん許されないばかりか、そのつけはかならず北朝鮮そのものへ回って行くことを厳しく忠告するとともに、われわれは、朝鮮半島や日本を含む東北アジアの安全を希求する人間として、また非核兵器地帯の拡大を願う人間として、このたびの暴挙に対して、それぞれの全存在を賭けて反対しつつ、戦争を放棄した憲法を持つ国の人間として、また広島、長崎の悲劇を体験した被爆国の人間として、北朝鮮および関係諸国に、以下の三カ条を提案する。

一、 北朝鮮は「アジア非核化の理念」に立ちもどり、核兵器開発をただちに中止すること。

ニ。

ノ核廃絶に取り組むこと。

iCTBT)」の条文に合意、うち34カ国が批准したのではなかったか。

 右の諸条件を、勇気をもって慎重に実践するならば、やがて北半球が非核兵器地帯で埋め尽くされる日は近い。それは断言できる。

 重ねて北朝鮮および関係諸国に訴える。核兵器は決して安全と幸福を産まない。それらが産むのは、地獄の悲劇だけである。

2006年10月16日

社団法人 日本ペンクラブ
会長 井上ひさし