●「声明」 日本ペンクラブ
小泉純一郎首相および日本国政府は、多くの国民の反対の声を強引に押し切り、巨額の国費を投入してイラクに自衛隊を派遣、「イラクは大量破壊兵器を所有し、世界平和を脅かす存在であるから」という米英の主張を全面的に支持してきました。しかし、イラクに大量破壊兵器が存在しなかったことは、すでに明らかであり、米英の政府も公式にそれを認めています。また米兵さらには英兵ほかによる捕虜虐殺や虐待の事実も判明しました。これらはすべて疑いなく国際法違反です。イラクを一方的に攻撃し、多くの都市を破壊し、何万人もの人々を犠牲にしたイラク戦争の「大義」は、もはやどこにもありません。にもかかわらず、小泉首相および日本国政府は、自衛隊を撤退させるどころか、派遣延長に踏み切りました。
イラクが今も米英の占領下にあり、内乱状態が続いていることは明白です。そのような状況下で、すべての国境を封鎖し戒厳令を布いて米国主導のもとに行われた選挙が、民主的で公正な選挙であると、どうしていえるでしょうか。
私たちが憂慮するのは、こうした国際情勢を背景に、日本が軍国主義への道を歩み始めたことです。既成事実を重ねることによって、不戦の誓いを明確に謳った世界に誇るべき日本国憲法の第九条を改悪し、自衛隊の海外派遣を合法化しようとする動きや、言論報道の自由を徐々にせばめようとする動きを、看過することはできません。
私たちは、イラク戦争の現実や、巨額な国費を費やしている自衛隊の行動を、知る権利があります。同時に、様々な視点からイラクの現実をとらえて報道しようとする、すべての国のジャーナリストや言論人を支持します。しかるに日本国政府は、報道規制を布いて自衛隊の活動状況を取材させないばかりか、現地で真実を探り伝えようとする、あるいは空爆とテロに脅えるイラクの市民を支援しようとする日本人に対し、自己責任を強調してその行動を非難し圧力をかけました。これらはまさに言論報道の自由を抑圧するものと言わざるを得ません。
私たち日本ペンクラブは、できるだけ早期の自衛隊撤収と、機関・個人を問わず取材・報道の自由を認めることを、日本国政府に対して強く要望します。そして同時に広く国民の皆さんに、このことを切に訴えます。
2005年2月12日
社団法人 日本ペンクラブ 会長 井上ひさし


