2002〜2003

人権擁護法案の「大綱」に関する要望書

 法務省は2002年1月31日に新しい人権救済制度の創設のための法案のアウトラインを示した人権擁護法案の「大綱」を公表した。
マ員会を設置する法案を2002年3月上旬に国会に上程すること、2003年の6月ないしは7月を目途に人権委員会を発足させることなどを明示している。

 作家、評論家、フリーランスライターなど表現者の集団としての日本ペンクラブは、これまでも人権救済制度に対する審議会の答申等に対し、その進捗の節目ごとに言論表現の自由の観点から強い懸念を表明してきた。法案上程が明らかになったいま、あらためて差別表現への規制、プライバシー侵害と過剰取材を対象とした報道機関に対する人権侵害への規制等については強く反対する。
 人権委員会という名称の行政機関が、表現行為や取材・報道の中身に深く立ち入り、その是非を判断して勧告・公表するという権限を行使すれば言論表現の自由は必ず侵害される。したがって日本ペンクラブは今回の「大綱」における提案の撤回、抜本的な見直しを求めたい。
 日本ペンクラブは去る2001年12月27日、「人権救済制度の法案化の進展に関する質問・要請書」を法務省に提出している。言論表現の自由に重大な影響を及ぼす事柄の性格に鑑み、法案の内容とともに法案化の過程そのものの情報公開が肝要であると考え、立法作業の詳細を提示することを求めてきた。今回はその一端が、法案「大綱」の公表という形で示された。だが「大綱」は法案提出が迫っているにもかかわらず、条文化の形をとっていない箇条書きの簡単な文書に過ぎない。詳細な法案原案を隠し、国民に十分な吟味の機会を与えようとしないこのような法務オている法案の全容を直ちに公表するよう強く求める。

2002年2月15日
社団法人 日本ペンクラブ
会長 梅原猛