2002〜2003

「住民基本台帳ネットワークシステム」の強行に対する抗議声明

 小泉内閣は、「住民基本台帳ネットワークシステム」(以下、住基ネット)の実施を、予定通り強行する姿勢を鮮明にした。日本ペンクラブは、以下に述べる重大な危惧と憂慮により、住基ネットの実施に強く反対する。

 小泉首相自らが不備を認めるように、住基ネットは、セキュリティー面のみならず、国民総背番号制に繋がるプライバシー侵害や市民生活の自由の蹂躙等、容認しがたい大きな問題を抱えている。殊にネットワークに関わる関係各方面から、地方自治体作成の住民個人情報が、防禦不能のまま全面的に漏洩・流出する怖れはまことに深刻で、また防衛庁リスト作成事件で露呈されたように、行政側の管理能力・意識にも、国民として黙過し難い異様な欠陥が放置されたままである。現在国会に上程されているいわゆる「個人情報保護法案」も上記の問題点を到底解決し得ず、むしろ廃案が至当と考える。
 もともと「住民基本台帳改正法」成立時に、時の小渕恵三首相は国会答弁で、個人情報保護のための法整備は、いわゆる住基ネット稼働の当然の「前提条件」であると繰り返し明言していた。この政府「公約」をすら不当に無視し、国民多数の理解を全く得ていない住基ネットを「とりあえずスタート」させようとする小泉内閣の姿勢は、国民の自由と安全を著しく脅かす意図に出たものと強く強く非難せざるをえない。
 日本ペンクラブは、住基ネットの強行が将来に重大な禍根を残すであろうことを重ねて警告し、その実施の延期および「国民の一人一人に網をかぶせる」(法案作成者の発言)これらの法自体の廃棄を強く強く要求する。

2002年7月26日
社団法人 日本ペンクラブ 会長 梅原 猛