●「個人情報保護法」制定についての要望と意見
日本国は欧米先進国に較べると、情報公開制度と個人情報保護制度の双方において大きく遅れている。
デジタル技術の急速な進捗にともない個人情報保護の必要性が強く意識されるようになり、政府は高度情報通信社会推進本部(総理大臣が本部長)に個人情報保護検討部会を設け、1999年11月に「我が国における個人情報保護システムの在り方について」という中間報告をとりまとめた。
しかしこの中間報告の内容は、個人情報の保護の原則を明確にしておらず、また個人情報の保護を名目として憲法21条に保障された言論表現及び報道の自由に対して国家による不当な規制が加えられるおそれがある。
個人情報保護検討部会は、マスメディアなどの関係機関からのヒヤリングを実施したが、中間報告をまとめると解散してしまい、舞台は具体的黷トいたが、専門委員会の審議が非公開で進められていることは、情報開示や情報保護のあり方を考えるうえで問題視されなければならない。
日本ペンクラブは、左に示した個人情報保護のための基本原則を、ただちに専門委員会で検討するよう強く要望する。
ノついては、その個人がつぎの権利を保障されなければならない。
1. どのような自己の個人情報が、どのような公的機関に、どのように保有されているかをすべて知る権利(個人情報の自己開示権)。
2. いかなる公的機関に保有されているいかなる自己の個人情報についても、それが誤った情報であるなら、その是正を実施させる権利(個人情報の自己是正権)。
3. いかなる公的機関に保有されているいかなる自己の個人情報についても、自らが必要と考えるときに自ら利用する権利(個人情報の自己利用権)。
4. いかなる公的機関に保有されているいかなる自己の個人情報についても、他人によってみだりに利用されない権利(個人情報の他人による違法、不当、あるいは不必要な利用をされない権利)。
二、表現の自由と個人情報の公表についての原則を左のように明確に条文化すること。
1. すべての個人情報は、原則としてその個人の許諾がなければ、何人も公表することは許されない。
2. ただし、その情報の公表が、公益のために必要であるときは、厳密にその必要である限度においてのみ許される。
3. その限度とは、左の諸基準に照らして具体的に検討されなければならない。
(1) その個人情報の人的公共性(その個人が公務員などの公的な立場にある、あるいはあったことに関する情報であるか)。
(2) その情報の時間的公共性(その情報を、その公開の時点で公開することが公共の利益のために必要であるか)。
(3) プライバシー情報の保護(その個人情報がプライバシー情報であるときは、特にその個人のプライバシーを侵害することがあってもなお、公益のためには当該情報を公開することが必要であるか)。
4. メディア及び表現者が、言論表現ならびに報道を目的とした個人情報を保有し公表することは、民間企業等が営利目的でそれらを保有、利用、公表することとは別 であり、憲法21条に保障された権利にもとづいて規定されなければならない。
2000年4月25日
社団法人 日本ペンクラブ
会長 梅原 猛


