2000〜2001

法務省・人権擁護推進審議会の「中間取りまとめ」の修正を求める意見書

 すでに日本ペンクラブでは、2000年10月16日に「日弁連の人権救済機構の設置試案への反対声明」を発している。去る11月28日に発表された法務省・人権擁護推進審議会の「中間取りまとめ」も、憲法21条に保障されている言論表現の自由に対し重大な侵害をもたらす恐れがあると判断せざるを得ず、最終答申に際しては大幅かつ根本的な修正を求めたい。

 「中間取りまとめ」は、人権侵害に対して強制調査権をもつ政府から独立した人権救済機関の新設を提言しているが、警察、刑務所、出入国管理当局などの公権力による人権侵害とマスメディアによる「プライバシー侵害」や「過剰な取材」を同列に扱おうとする姿勢はきわめて異常で強い違和感を覚える。憲法に保障された表現の自由、プレスの自由(「取材・報道の自由」)とは、メディアが国民の知る権利を代行するために保障されたものであり、民主主義社会の維持・発展のために必要不可欠な制度である。
 「中間取りまとめ」では、「人権侵害をすべて自主規制にゆだねるのは相当ではない」としているが、なにが「プライバシー侵害」であるか、どんな方法が「過剰な取材」なのか、これは取材者の使命と経験のなかで判断されるべき性質のものである。公人と私人の区別はひとつ間違えれば人権侵害になるし、また権力の監視からの撤退にもつながる、そうした極めてきわどいせめぎ合いのなか決定されるのである。さらに報道被害を防止する二重三重の自主的なチェック機能において不断に確認すべき性質のものと認識している。  
 日本ペンクラブは、メディアによる人権侵害はメディア自身で反省し解決しなければならないとの考えから、去る11月27日付でメディア各社に「報道評議会/プレスオンブズマンへの取り組みに対する調査」と題して回答を求めている(添付資料)。人権救済機関は独立行政委員会といえども政府の一部であり、政府を監視する使命をもつマスメディアが政府にその判断権を委ねるわけにはいかないのは当然である。求められているのは「報道評議会/プレスオンブズマン」であり、言論表現の自由を阻害する人権救済機関ではない。

2000年12月15日
社団法人 日本ペンクラブ
会長 梅原 猛