2000〜2001

青少年社会環境対策基本法案の撤回を求める声明

 次期通常国会に上程が予定されている「青少年社会環境対策基本法案」(自民党案)は「青少年の性もしくは暴力に関する価値観の形成に悪影響を及ぼし、または性的な逸脱行為、暴力的な逸脱行為若しくは残虐な行為を誘発し、若しくは助長する等青少年の健全育成を阻害するおそれのある社会環境」を「青少年有害社会環境」として規制の対象としている。しかし、この定義はあまりにも広範かつ曖昧で、結果的に言論表現活動が法的規制の対象とされる危険性はきわめて高いと思われる。

 青少年の健全な成長という目的のために、すでに児童ポルノ禁止法が制定され、風俗営業適正化法が改正されたほか、各地方自治体では青少年保護条例が機能している。また放送法では従来から放送事業者に対して番組内容の規制を課してきた。さらにこうした法律や条例による規制だけでなく、過度の性的あるいは暴力的表現に関しては、映画における映倫、放送におけるBRC及び放送と青少年に関する委員会、書籍等には出版倫理協議会、新聞における日本新聞協会などのほか、それぞれのメディアにおいて自主的な努力がなされてきた。もちろん、こうしたさまざまシステムをもってしても万全とはいえず、さらにメディアは報道評議会/プレスオンブズマンを配置してでき得るかぎりの自浄作用を追求しなければならないし、日本ペンクラブはそのための努力を惜しまないつもりである。
 少年事件犯罪の防止や非行化の歯止めといった社会的風潮を口実として「青少年有害社会環境」と漠然と措定し、法制化を必要とする明確な理由の説明もなく、それが言論表現の自由への許されざる侵害にあたらない、との確認もない。どんな言論表現活動が「青少年有害社会環境」をつくり出すのか、これは基本的にはメディア自身の自覚及び責任において判断されなければならず、憲法に保障された言論表現の自由を直接に阻害する制度は許すことができない。
 日本ペンクラブは以上の理由により、自由民主党に「青少年社会環境対策基本法案」の撤回を求める。

2000年12月15日
社団法人 日本ペンクラブ
会長 梅原 猛