2000〜2001

「報道評議会/プレスオンブズマンへの取り組みに対する調査」のお願い

 日本ペンクラブは去る10月16日、「日弁連の人権救済機関の設置法試案への反対声明」を送った(添付資料1)。さらに10月30日、加賀乙彦副会長及び猪瀬直樹言論表現委員長が霞ヶ関の日本弁護士連合会を訪れ、日弁連の藤村義徳・事務次長、村越進・人権擁護委員会副委員長に対してあらためて設置法試案の撤回を求めた。

 日本ペンクラブとしては引続きこうした抗議活動をつづけるつもりだが、メディア規制をめぐる動きは予断を許さない情況であるとの厳しい認識をもっている。すでにご承知の通り、人権擁護施策推進法が平成9年(97年)3月に施行されており、同法にもとづいて法務省に人権擁護推進審議会が設置された。この人権擁護推進審議会もまた報道被害を対象とする人権救済機関を設置する方向で結論を出そうとしており、日弁連の設置試案もこれに対応した動きのひとつだからである。
 また政府の個人情報保護法制専門委員会による「個人情報保護基本法制に関する大綱」が10月11日に発表されている。ここにもメディアを規制する方向付けがなされていることに注意されたい。すでに日本ペンクラブは4月25日付(添付資料2)、6月15日付(添付資料3)と二度にわたり個人情報保護法制に対する問題点を指摘し当該委員会へ送っている。今回の「大綱」においても言論表現の自由が侵される危険性が高い。
 さらに参院自民党が素案をまとめている青少年社会環境対策基本法が、議論を尽くさぬまま臨時国会ないしは次期国会に提出される段取りになっている。同法案は、青少年保護を名目に広範な概念を設定してメディアを規制するもので、野党も同調する可能性があり一刻の猶予もならぬ事態となっている。
 人権擁護の波もメディアへの情報公開の要求も欧米先進国ではかなり具体的に進んでおり、その流れがわが国にも押し寄せているという現状を理解する必要があるだろう。ただし、言論表現の自由を闘いとってきた先進国では安易にメディアを規制して解決する方策はとらない。またメディア自身も自浄作用を発揮することで批判に答えようとしている。名称はさまざまにあるが第三者機関としての報道評議会/プレスオンブズマンないしはそれに準じるメディア自身の社内審査などの努力がつづけられている。
 ひるがえってわが国においてはどうか。必ずしもメディア側に瑕疵があるわけではないとしても、こうした努力を積極的に示すことが必要であろう。一連のメディア規制に対する姿勢を身をもって示すためには、反対の意思表明はもちろんのこと対案としての説得力ある動きもまた示さなければならない。メディアによる報道被害対策、誤報のチェックと再検証作業等には公正な第三者機関としての報道評議会/プレスオンブズマンの設置が望ましいとしても、突然にそれがつくられるわけではなく、これまでの努力の積み重ねのうえに展望されるべきと考える。
 そこで日本ペンクラブがあえてメディア各社に回答を期待するのは、これまでの取り組み及び今後の具体的方策についてである。先ごろ毎日新聞社が「開かれた新聞」委員会をスタートさせたが、報道された側からの苦情等に対応するシステムについては他にも検討を進めているメディアがあると思われる。御社の場合、現段階でどのような努力をされているのか、なるべく具体的に示していただけるようお願いしたい。

2000年11月27日
社団法人 日本ペンクラブ
会長 梅原 猛