2000〜2001

「諌早湾問題に関する緊急声明」

 諌早湾が七キロメートルに及ぶ潮受堤防によって締切られて、はや四年が経とうとしています。1997年4月、まさにギロチンによって一瞬にして命を絶たれたごとく、諌早湾は死の海となり、ムツゴロウはじめ多くの魚介類や底生生物、干潟を餌場とする渡り鳥などの命を奪ってしまいました。

 日本ペンクラブは現場を視察し、その暴挙に対して強く抗議すると共に、一日も早く水門を開放し豊饒の海を甦らせるべきであることを主張してきました。諌早の干潟を殺しただけでなく、有明海全体に与える悪影響についても憂慮してきました。今、明らかにその徴候が現われ、赤潮が発生したり海苔が不作となるなど、有明の海に異変が起っています。
 もはや猶予すべきではありません。干拓工事をただちに中止すると共に、水門を開放して干潟を復活させる道を選ぶべきです。開放したことによるヘドロ拡散の問題、水流による堤防決壊の危惧、その他工事中止と水門開放に伴う多くの障害に取り組まなければなりませんが、叡智を集めれば必ず乗り越えることが可能です。もはや利害の対立や、これまで投じてきた巨額の費用と労力を無にできないなどという面子にこだわるべきではありません。工事を中止し水門を開放する勇気こそが、多くの国民の願いであることを考えるべきです。
 日本ペンクラブは、豊かな自然環境と美しい風土によって育まれた日本の文学にたずさわる会員たちの総意として、改めて日本政府ならびに農林水産省、長崎県その他関係各位 に対して、諌早湾干拓事業の中止と潮受堤防水門の開放を、強く申し入れます。

2001年4月9日
社団法人 日本ペンクラブ
会長 梅原 猛