2000〜2001

法務省・人権擁護推進審議会の「人権救済制度の在り方について(答申)」に反対する声明

 日本ペンクラブでは2000年11月28日に発表された法務省・人権擁護推進審議会の「中間取りまとめ」に対し、憲法21条に保障されている言論表現の自由に対し重大な侵害をもたらす恐れがある、と「修正を求める意見書」を12月15日付けで発した。
Rにとって憂慮される事態が招来されるため、あらためて法曹界ならびに国会議員諸兄に注意を促したい。

 答申は「マスメディアが、これまで様々な人権侵害の問題に光を当てることにより、人権擁護に貢献してきた」と一定の理解を示していながら、それでもメディアへの人権救済機関の関与を取り下げていない。行政機関がメディアの表現の中身にまで立ち入り、規制権限を行使することについては強い懸念を表明せざるを得ない。また以下のような「等」が付加された文言は拡大解釈の恐れがある点を危惧する。
 「犯罪被害者とその家族、被疑者・被告人の家族、少年の被疑者・被告人等に対する報道によるプライバシー侵害や過剰取材等については、これらの人々が自らの人権を自ら守っていくことが困難な状況にあることに照らし、自主規制の取組にも配慮しつつ、調停、仲裁、勧告・公表、訴訟援助の手法により、積極的救済を図るべきである」
ェ講じられると、メディアは国民の知る権利を代弁しにくくなる。
 すでに「中間取りまとめ」に対する12月15日の声明で、この点については以下のように注意を促していたものである。
 「なにが『プライバシー侵害』であるか、どんな方法が『過剰な取材』なのか、これは取材者の使命と経験のなかで判断されるべき性質のものである。公人と私人の区別はひとつ間違えれば人権侵害になるし、また権力の監視からの撤退にもつながる、そうした極めてきわどいせめぎ合いのなか決定されるのである。さらに報道被害を防止する二重三重の自主的なチェック機能において不断に確認すべき性質のものと認識している」
 日本ペンクラブは、法務省・人権擁護推進審議会の最終答申に疑義を表明すると同時に、この問題について広範な議論がわき起こることを期待する。

2001年7月16日
社団法人 日本ペンクラブ
会長 梅原 猛