●「通信傍受法案」に対する声明
日本ペンクラブではすでに一九九七年二月十七日付で「通信の傍受を伴う法改正についての声明」を発しているが、あらためて、盗聴を認める法案の廃案を強く求める。
今国会に上程されようとしている組織犯罪対策法案(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案)には、検察・警察による通信傍受すなわち盗聴を認める条項があるが、憲法二一条(2)の「検閲はこれをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」に違反するものと日本ペンクラブは理解する。
盗聴が合法化されると言論、表現の自由にもとづく諸活動が抑圧される恐れがある。当該法案の第十五条には、「医師、歯科医師、助産婦、看護婦、弁護士、弁理士、公証人又は宗教の職にある者との通信については、他人の依頼を受けて行うその業務に関するものと認められるときは、傍受してはならない」と例外規定をもうけているが、ここに「ジャーナリスト」は含まれていない。ジャーナリズムは「取材源の秘匿」を最高の職業倫理としており、したがって国家権力による通信傍受を許せば自由な取材活動は事実上、不可能となる。
日本ペンクラブとその会員は「P・E・Nは言論報道の自由を宣言し、平時における専制的な検閲に反対する」「P・E・Nは、より高度な政治的経済的秩序への世界が必要としている進歩をなしとげるためには、政府、行政、諸制度に対する自由な批判が不可欠であると信ずる」との国際ペン大会で採択されたペン憲章の趣旨に則り、国家権力による盗聴を否定するものである。
1998年9月16日
社団法人 日本ペンクラブ
会長 梅原 猛


