●イラク危機に対する声明
イラクに対してアメリカが武力行使による威嚇をもって交渉してきた態度に対して、国家間の憎しみを取り除くことをペン憲章としている私たち日本ペンクラブは、大きな危惧の念をいだいてきた。私たちはいかなる理由があろうとも、武力行使による問親の解決を容認できない。ひとたび武力行使が行われれぱ、軍事目標だけでなく数多くの一般市民にも被害が生じる事実は、先の湾岸戦争においても見られたし、過去の大戦において日本国民が体験してきたことでもある。このような惨禍が予想されるような事態を避けて、平和的な話し合いによる解決こそ、私たちの強く望むところである。
アナン国連事務総長がバグダッド入りをして交渉した結果、イテクにおいて製造されていると疑われる大量破壊兵器の廃棄のため、国連安保理決議による査察をイラクが受け入れる合意が得られたと伝えられ、私たちはこの外交的努力を評価する。
しかし私たちは、なおアメリカに対して、武力行使による威嚇又は武力行使による紛争の解決を避けるように強く要講する。
先の橋本首相の施政方針演説では、この問題について「外交努力を続けながら、米国をはじめ関係国と括調して対処する方針であります」と言及しているが、他方、首相は一時対イラク武力行使を容認するかのような発言をしたとも伝えられている。憲法九条において武力による威嚇又は武力の行使を国際紛争を解決する手段としては放棄している国の首相として、今こそ、問題の乎和的・非軍事歯解決を望む日本国民の意志を、毅然とした態度をもって全世界に表明すべきである。
1998年2月24日
社団法人 日本ペンクラブ
会長 梅原 猛


