●日本ペンクラブ・追手門学院共催セミナー 「電子書籍時代の作家と図書館」
日本ペンクラブ・追手門学院共催セミナー「電子書籍時代の作家と図書館」
今年4回目を迎える日本ペンクラブ・追手門学院共催セミナーは9月3日(土)、台風12号通過による大雨・暴風・洪水警報発令にもかかわらず、大阪市中央区の追手門学院・大阪城スクエアにおいて開催を強行しました。浅田次郎会長とゲストとしてお招きしたパネリストの花田一郎氏(大日本印刷)にはご無理願って前泊をお願いしていたこともあり、当日警報が発令された場合でも熱心な参加者と準備にかかわった関係者だけでも聞きたいと開催強行を決めたのでした。
ところが実際にはセミナーの開始前は大雨どころか曇り空といった状況で、JRや私鉄各社も大阪近辺はダイヤ通りの運行、会の途中から雨が降り出したものの開催にはまったく支障がない状況でした。事前の有料申込者数は250名でしたが、台風の影響で当日は有料申込者数150名と関係者合わせて175名となりました。それでも会場はほぼ満員状態で、これで4回目のセミナーですが、台風にもかかわらず過去最高の入場者数でした。
14時00分 開会挨拶 山岡祐子・日本ペンクラブ言論表現委員会委員
14時10分 講演「電子書籍時代の作家と図書館」浅田次郎・日本ペンクラブ会長
15時30分 トークセッション
パネリスト:
浅田次郎氏
落合正行氏(追手門学院大学学長)
花田一郎氏(大日本印刷 教育・出版流通ソリューション本部デジタル推進部)
中西秀彦氏(日本ペンクラブ言論表現委員会委員)
司会:
湯浅俊彦(日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長)
16時50分 閉会挨拶 松本直樹氏(追手門学院大学副学長)
17時00分 閉会
つづくトークセッションの前に司会担当の湯浅から「図書館における電子書籍の利用」についてパワーポイントのスライドをプロジェクターに映して、さまざまな公共図書館における電子書籍貸出サービスの実際、またデジタル教科書のキーワードをクリックすると電子書籍の本文までリンクされる具体例を示し、さらにセミナー開会直前の出演者控室でパネリストの大日本印刷の花田一郎さんが購入した同じくパネリストの中西秀彦さんの電子書籍『我、電子書籍の抵抗勢力たらんと欲す』(印刷学会出版部)の表紙部分にiPad上で著者サインをしてもらう様子をデジカメ写真で撮り、会場にその手順を示しました。
トークセッションでは大日本印刷の花田一郎さんから図書館向けの電子書籍サービスの実際について説明を受け、追手門学院大学学長の落合正行さんから大学における電子書籍の意義、またペンクラブの中西秀彦さんからは電子書籍はもはや書籍ではないという観点からさまざまな問題提起がありました。浅田会長の作家にとって電子書籍とはなにかという基調講演を受けて、読者にとって電子書籍とはなにか、また文学にとって電子書籍とはなにかをテーマに討論を行いました。
さらに檀上だけでなく、司会の私がマイクを持って会場を回り、一般参加者からの意見も交えながらの楽しいセミナーになりました。
予定されていた丸善、教育出版・TRC、紀伊國屋書店の3グループによる電子書籍のデモンストレーションが台風の関係で中止となったことは残念でしたが、日本ペンクラブと追手門学院との共催セミナーはすっかり関西に定着し、文学と出版、そして図書館に関する今日的な問題提起と討論の場として一定の社会的役割を果たしていると言えるでしょう。
記:湯浅俊彦[立命館大学文学部准教授、日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長]


