私たちは1年前、審議中の通信傍受法案改正に反対し、廃案を求めた。法案は衆議院の審議において一部修正されたものの、日本国憲法が保障する言論・表現・出版の自由と通信の秘密を侵害する恐れのある点につき、何ら変更はない。
  法案の内容は、傍受対象の犯罪に、窃盗、詐欺、傷害や児童ポルノ規制などが含まれ、通信傍受の制限的な運用となっていた通信事業者の立ち会いもデータの暗号化によって省略できることとされている。例外的な状況に限定されていた制度の運用が、事実上ほぼ無制約に拡大するおそれがあるといえる。こうした危険性は、先ほど来日した国連特別報告書デビット・ケイ氏からも指摘されたところである。  
 私たちは、今回の通信傍受法の改正が、公権力による盗聴社会を招き寄せると考える。これは民主主義と基本的人権の尊重を謳う憲法から逸脱するものであって決して許されない。  

2016年5月16日      
一般社団法人日本ペンクラブ
会長 浅田次郎

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