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 4月7日(金)、前日6日に国会で共謀罪(「組織的犯罪処罰法改正案」)の審議が始まるという、緊迫した雰囲気の中で、午後6時半から文京シビックセンター小ホールにて、日本ペンクラブ主催のイベント「共謀罪は私たちの表現を奪う」が開催された。当日は、300名が会場に集い、多くのマスコミが取材するなか、様々な表現活動に携わる人々から、共謀罪の廃案を目指し、活発な発言が行われた。
 冒頭、主催団体の日本ペンクラブを代表して、浅田次郎会長から開会宣言があった。
浅田次郎(日本ペンクラブ会長・作家)― 日本ペンクラブは国際ペンの支部です。国際ペンは、第一次世界大戦後、平和のために表現の自由を守ることが平和につながると世界中にできた組織です。日本でも1935年に創設され、初代会長は島崎藤村です。共謀罪は日本ペンクラブにとり看過できません。私たちは死ぬが、作った法律は残る。残った法律が子や孫の代にどう使われるかはわからない。将来の世代に残る法律を、今だけの判断で決めてよいのでしょうか。 

 引き続き、登壇者が次々に共謀罪への反対・懸念を述べた。(以下敬称略)
雨宮処凛(作家)― 3.11以降の運動全体を弾圧するのに、共謀罪が利用されるのではないでしょうか。逮捕されると、今度は長期拘束される。デモで、何もしていないのに逮捕されているのを何度も見ている。共謀罪がなくてもそんな状態です。北朝鮮に何回か行ったら家宅捜索を受けました。私はそうなりませんが、無意識に委縮してもおかしくない状況ではないでしょうか。
内田麟太郎(絵本作家・日本児童文学者協会理事長)― 私本人は革命的でもないし保守的で委縮しています。権力にも反抗的じゃない。今日は出席を断ったが、友が虎屋の羊羹をくれるというから来ました。そのような私も懸念を持っています。(ナンセンス・ユーモア作家の言葉に場内笑い)
江成常夫(写真家)― 共謀罪は治安維持法と重なると懸念する声があります。日本が戦争に突き進んだ裏には治安維持法がありますし、戦争の過ちと、その過ちを伝えてこなかった過ち、ドイツとの違いはどこにあったのかをもう一度考えるべきではないでしょうか。
金平茂紀(テレビキャスター)―共謀罪は本当に怖い法律。これまで取材して来た中でも特に怖いと感じている。今日の集会の登壇者の中の誰か1人が将来テロに関与するようなことがあると、ここにいるみなさんも共謀罪に問われるということです。横浜事件が起こったという事実を忘れてはいけないと思います。拡大解釈が起きてしまうのです。
香山リカ(精神科医・作家)― 精神科医の立場から。患者さんの訴えで辛いものの一つに、自分の考えを覗かれている、というものがあります。この法案が成立して内心の自由がおかされるのは、病気ではなく、現実世界でこれが起こること。自分の考えが誰かに漏れ伝わってしまうという妄想に囚われている患者さんがいて、それは本当に辛いことです。共謀罪が成立すると法律によって多くの人がそういう精神状態に追いやられることになります。また沖縄基地反対運動の身近な人が長期間にわたって拘束されるのを見ると、このようなことを話す今、現在は恐ろしいことだと思います。
ちばてつや(漫画家)― 東京都青少年条例が出てから、漫画を描く学生が委縮し、「こんな漫画は描いてよいのか」と質問されるようになり、驚いている。北斎は漫画と春画を描いて、ヨーロッパ絵画にも影響を与えました。そういうおおらかさがなくなりはじめているように感じます。社会におおらかさがなくなっていることを憂いています。大きな渦があって、我々日本人はいまその縁にいる。下手すると渦に飲み込まれてしまいます。
長谷部恭男(憲法学者、立憲デモクラシーの会)― 何としてもこれは止めないといけないと思っています。戦争法と同じで、今まで積み上げてきた法の体系を無視して、横からすっと出されている。また、国際的な組織犯罪の対象組織は、テロはおかさないのではないでしょうか。そもそもテロ防止の法律はすでにあり、理屈に合いません。
森絵都(日本ペンクラブ常務理事・作家)― 庇護と監視との関係を考えています。庇護と監視はセットで差し出されるんです。震災が起こって考えたのは大災害が起こった時、国は何もできない、ということです。一人一人が国に守ってもらおうと思うのではなく、一人一人が自分で自分を守るという考え方が大切なのではないでしょうか。
ビッグ錠(漫画家)― こういうことはいったん決まってしまうと手遅れです。決まった後に反対したりしたら、捕まってしまう。危機感をすごく感じています。安心して漫画を描ける時代であってほしい。
森達也(作家・映画監督)― 一人は弱い。誘惑に負ける。でも反省もできる。しかし、共謀罪はそれも許さない。 一人一人を見ず、全体を見てレッテルを貼り、抹殺する法律です。
田近正樹(日本雑誌協会人権・言論特別委員会、日本書籍出版協会出版の自由と責任に関する委員会)― 社会を根底から変えてしまうのではないかと思っています。だから共謀罪に大反対です。普段やっている取材が共謀罪によって大幅に制限される。277に絞ったのではなく、277の新しい罪ができたのではないでしょうか。
山口勝廣(写真家・日本写真家協会専務理事)― 個人情報などがあって、写真が撮りづらくなった。時代の記録はどうなってしまうのか。写真は現場にいないといけないのに、法案が成立すると現場が萎縮してしまうのではないか。共謀罪ができてカメラマンが萎縮するようなことがあってはいけません。社会の窓である表現を閉ざしてはなりません。
中島京子(作家)― テロ対策と著作権侵害はどういう関係があるのだろう? これは誰かを取り締まりたいために対象にされたのでは、大変だ!と思いました。
 あきらめたりせず、理不尽なことに流されていくことに反対しなくてはいけません。テロの対策と言われているのに、関係ないものまで処罰しようとしています。誰かを処罰したいがための法律だと思います。

 途中、共謀罪反対の意志表示のため、登壇者一同舞台に上がり、報道各社の撮影に応える一幕もあった。
 会は、最後に、山田言論表現委員長より、都合により来場できなかった作家などの表現者、団体の名前が読み上げられ、共謀罪廃案を目指し、幅広い層に呼びかけて活動することが確認されて、午後8時40分に終了した。

(まとめ:日本ペンクラブ事務局 速報版 詳細版は後日掲載予定)

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