国際P.E.N.の創設にも、日本ペンクラブの創立にも、戦争が深く関わっています。敵への憎しみをあおり、侮蔑し、自分たちの正しさだけを言い募り、内なる異論を排除する風潮は、勝っても負けても、社会と文化を痩せ細らせる。多大な犠牲を払い、苦い経験を経て、先人たちはそう気づき、そこから平和への希求と言論表現の自由とは一体のものである、という教訓を引き出したのでした。
 吉岡会長.jpg国際P.E.N.も、その支部としての日本ペンクラブも、もともとは文学者の活動でした。しかし、マスメディアの発達、創作活動の多様化、国境を越えて広がる情報テクノロジーの進展によって表現の場は飛躍的に拡大し、言論表現の自由は市民社会全体に関わる最重要課題になってきました。
 他方で、今日の世界には、グローバルなヒト・モノ・カネの移動がもたらしたさまざまな荒廃があり、戦争とテロの応酬もあります。これらが呼び起こす人々の不安は、自由よりも安全安心を求める趨勢となって、市民社会の姿を一変させないともかぎりません。
 それでもなお、いや、それだからこそなお、私たちは一人ひとりが自由に考え、自由にものが言え、自由に創作できる社会の実現をめざしたい。それこそが何よりの安全安心であり、ほんとうの豊かさであり、また破局を免れる唯一の道だと信じるからであります。

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