メールマガジン「P.E.N.」バックナンバー

日本ペンクラブ・メールマガジン「P.E.N.」第5号2003年12月15日

「自衛隊のイラク派遣に反対する声明」/
シンポジウム「作家・読者・図書館−公貸権を考える−」
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■「自衛隊のイラク派遣に反対する声明」

 言論表現の自由と平和を求める社団法人・日本ペンクラブは、創立68周年の記念日にあたる2003年11月26日、「自衛隊のイラク派遣に反対する声明」を発表。翌日、新聞等で報道されました。

 「声明」は、内閣総理大臣、各政党の党首、在日米英大使にも発送しました。

 「声明」の全文は、日本ペンクラブのHPに掲載しています。
 ご覧ください。
 http://www.japanpen.or.jp/honkan/seimei/031126.html
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■シンポジウム「作家・読者・図書館−公貸権を考える−」

 さる2003年11月8日(土)、日本プレスセンターホールにて、百数十名の聴衆を得て開催されました。
 公共貸与権(公貸権)、図書館の複本制度などについて、図書館側、出版者側、作家側の双方が議論し、問題解決へ向けての建設的な歩み寄りもありました。

 出演者は、猪瀬直樹(日本ペンクラブ)、石井昂(新潮社)、糸賀雅児(慶應義塾大学)、大沢在昌(日本推理作家協会)、西野一夫(川崎市立中原図書館)、三田誠広(日本文藝家協会)、吉田直樹(東京都立中央図書館)、松本侑子(日本ペンクラブ)の8名。まとめは藤原伊織(日本ペンクラブ)、総合司会 篠田博之(日本ペンクラブ)でした。

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 ◇「公貸権とは何か」、当日、会場で配布されたパンフレットより、
  ご紹介します。
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公共貸与権(公貸権)とは
 公共図書館など、非営利目的の機関が、不特定多数の公衆に無償で書籍等を貸し出すことを、「公共貸与」という。
 これは英語の「パブリック・レンディング」の翻訳で、日本では、これに類する言葉はこれまでなかった。

 そもそも英語では、「レンタル(賃貸)」と「レンディング(無償貸与)」は言葉も違い、まったく異なった概念である。
 レンディングは、無償の貸与を示す言葉で、著作権が及ばない領域である。
 しかし公共図書館の普及によって、著作者の人権(知的所有権)が侵害されるという声が起こり、ヨーロッパ諸国では、「公共貸与権」という概念のもとに、補償金制度が確立されている。

 最も早く公共貸与権が導入されたのは1946年のデンマークで、以下47年ノルウェー、54年スウェーデン、61年フィンランドと、北欧諸国での導入が先行した。さらに、73年ドイツ、77年オーストリア、79年イギリス、86年オランダと、補償金制度はヨーロッパ諸国全体に広まっている。フランス、イタリア、スペインなど、いまだ実施されていない国もないわけではないが、EU加盟国には何らかのかたちで同様の制度の実現が求められ、現在、準備が進められている。

 なお日本の著作権法では、第三十八条の四において、非営利無料の貸与は無許諾無償で著作物を公衆に貸与できると定められている。
 これは「権利制限」と呼ばれているものの一種であるが、同条の五において、「映画の著作物」については、補償金が課せられる旨が記されている。

 この「映画の著作物」に公共図書館等が支払う補償金について、文化庁前著作権課長の岡本薫氏は、その著書『インターネット時代の著作権』(財団法人全日本社会教育連合会刊)で、次のように述べている。

 このように、「非営利・無料の貸与」について「補償金」を受ける権利は、一般に「公貸権」といわれています。(中略)なお、ヨーロッパでは、「Q10」(図書館の貸出についての質問/引用者註)の場合のような「図書館での本の貸出」についても、著作者への人権制限を軽減する観点から、この制度と同様の「補償金制度(公貸権)」を導入することが進められつつあります。

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 ◇図書館問題について、出演者の一人、糸賀雅児さんが会場
  配布パンフレットに寄稿した文章をご紹介します。
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『作家と図書館は連帯して知的立国を』 
糸賀雅児(慶応義塾大学教授・図書館情報学)

 私は、わが国の知力を回復させるためには、インターネット全盛の現代であればこそ、いっそう「読書」が奨励されなければならないと考えている。

 その実現に向けて、著作者は「借りて読む」という行為を「買って読む」と同じように、正当な行為として認知する必要がある。
 また、図書館は貸出猶予や選書の見直しなどの方法をとることにより、出版市場への一定の配慮を示すべきである。

 公貸権の導入は時期尚早であり、その理由は以下のようなものである。

 一方は図書館が大量に貸出すために被害をこうむっていると言い、他方はそれは事実無根だとやり返す議論が続いてきた。
 著作者側の経済的損失がどれほどのものかは正確につかめないが、精神的苦痛を受けていることだけは確かなようで、これはハラスメントの構図に似ている。読書をめぐるハラスメントと考えれば、新たな「読(どく)ハラ」と呼べるかもしれない。

 ハラスメント行為の可能性を指摘されたほうは、過去の行為がそうでないことを立証するより、今後はそういう誤解を与えないような配慮をしたほうが相手との関係がうまくいく。

 貸出猶予や選書の見直しは、そうした姿勢を相手や社会にわかりやすく示す実現可能な方法だと考える。
 さらに言えば、サービス方針の転換にともなう新しい図書館のビジョン(註*)を示すことができば、より説得力を増すだろう。

 補償金制度は金で解決するわけだが、第三者が肩代わりしたのでは、依然としてハラスメントが続くことになる。これで両者の関係が良くなるとは思えない。
 まして、医者のいないところで「ドクハラ」が起きえないのと同じように、図書館のない町では「読ハラ」が起こりえない。なのに、そこの住民たちも負担することになるのは、納得がいかないだろう。

 そもそも、ハラスメントは力関係が不均衡な場合に起きるのだが、図書館に読ハラの意識が薄いのは、自分たちは権力を振るうような立場にないと考えているからである。
 著作者から見て、はたしてその見方は理解できるものだろうか。ここに両者の意識のズレがあるように思われる。

 ヨーロッパのいくつかの国々では公貸権制度が導入され、図書館の貸出や蔵書の量に応じて補償金が支払われている。
 これは、社会が「借りて読む」ことを、「買って読む」ことと同様に、情報入手や知的創造の正当な手段として認知しているからである。
 だからこそ、国が図書館設置にも力を入れてきたし、図書館を通じての読書に対し国民が負担してもよいと考えているのである。

 著作者と図書館は、力をあわせて読書環境の充実と図書館振興を図り、国民(読者)誰もが納得するような補償制度を実現させるべきである。
 それが資源の乏しいわが国を知的資源の活性化によって再生させ、知的立国を図る近道と考える。

(註*)
・「2005年の図書館像」文部省地域電子図書館構想検討協力者会議、2000年
・「図書館による町村ルネサンス Lプラン21−21世紀の町村図書館振興をめざす政策提言」日本図書館協会町村図書館活動推進委員会、2001年
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 ◇ほかの出演者7名(作家側、出版者側、図書館側)からの問
  題提起、「言論表現委員会のこの1年の取り組み」および、
  言論表現委員会のメンバー(浅田次郎、権田萬治、藤原伊織)
  による文章は、ペンクラブのHPに全文を掲載しています。
  ぜひご覧ください。
  http://www.japanpen.or.jp/honkan/iin_genron/031108.html
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■ペンクラブ「電子文藝館」のご案内
http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/index.html

12月に新しく掲載された文藝作品です。
黒岩 涙香 「萬朝報」発刊
白井 喬二 「大盗マノレスク」
西垣 脩  「霧ぬれの歌」
田口 鼎軒 「日本之情交論」
後藤 栖子 「父のこと友のこと」

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日本ペンクラブ・メールマガジン「P.E.N.」     (毎月1〜2回発行)
 
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