メールマガジン「P.E.N.」バックナンバー

日本ペンクラブ・メールマガジン「P.E.N.」第34号2005年10月13日

第21回平和の日の集い(松山市)対談III〜新井満VS三宮麻由子 その2
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 前号に引き続き、今年3月、愛媛県松山市にて開催した「平和の日」の集いより、
対談の要旨をお送りいたします。

 作家の新井満さんとエッセイストの三宮麻由子さんが「ことば」について語った
トーク、その2です。
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■リレートークIII「平和の日に想うことば」〜新井満VS三宮麻由子 その2

新井 麻由子さんの前世は鳥のように思えてきたんだけども、麻由子さんの
テーマソングというのがあるんですよね。

三宮 「ブルーキャナリー」(青いカナリア)です。
 ある晩、ラジオで聞いて、これだと思って、ひと晩でアレンジを考えて、
次の日にピアノで弾いて曲の形にしたものです。だから楽譜はなく、世界に
ひとつしかないし、二度と同じには弾けないのですが、今日はそれを弾いて
みたいと思います。

 (新井氏が席からピアノまでエスコート)

三宮 最後に近いところでカナリアが鳴きます。お楽しみに聞いてみてくだ
さい。

 (ピアノ演奏と口笛によるカナリアの鳴き声。大拍手)

新井 よかったね。さて、松山は温泉の町でもありますが、言葉の町でもあ
り、全国的に珍しい文化イベントをやってらっしゃいます。
 それは「ことばのちから」というプロジェクトです。そのプロデューサー
は、もちろん市長の中村時広さんです。
 どういうことで、こういう面白いことをお始めになったのか、市長さんに
直にお尋ねしたいと思います。

 (中村市長、登壇)

新井 面白いことをお始めになりましたね。なぜ言葉にフォーカスしたんで
すか?

中村 21世紀を迎える時に、松山らしいイベントを市民の有志の皆さんに考
えてもらい、いろんなアイデアを出してもらいました。
 やはり正岡子規の町で、俳句、文学、言葉といったものに縁が深い町なの
で、言葉にこだわったイベントをやろうじゃないか、というのを市民の皆さ
んが出してくれたんです。
 それで「あなたが次の世紀に残したい言葉」大募集ということで呼びかけ
たら、全国から1万2001通も集まりました。2001年にちなんでむりやり数を合
わせたわけではなく、本当に1万2001通だったんです。それで入選したのが
23通でした。

新井 びっくり仰天するようなコピーというか、言葉もいろいろとあります
ね。
 例えば、「心のパンツを脱ぎなさい」というのがあって、これはどういう
ことなんでしょうね?

中村 皆、見栄であるとかを持ちながら生きている。そういうのは脱ぎ捨て
て、裸の心になって気持ちよく自分をアピールし、付き合っていこうよ、と
いう呼びかけかなと思ったんですけどね。ちなみに、これ、僕が選んだわけ
ではないんです(笑)。

新井 「ありゃまあ、こりゃまあ、まっちゃま─」というのもあります。こ
れはすごいですね(笑)。「まっちゃま─」というのは、松山のことなんで
すね?

中村 これは確か、小学校2年生の作品だったと思いますね。

新井 市長さんが一番感動したのは、どんな言葉だったんですか?

中村 実は市役所の入り口に掲げているんですけれども、「恋し、結婚し、
母になったこの街で、おばあちゃんになりたい」という作品ですね。
 実はひとつだけ、私が個人的に落としたものがありましてね。それは「オ
ーイ、中村君、元気でやってるかい」というものでした(笑)。

新井 この「恋し、結婚し......」は素晴らしい言葉だと感動したので、この
言葉を膨らませて歌詞にして、それにメロディーをつけてみました。
 作詞は新井ですが、三宮さんと一緒に作曲をしました。
 仮のタイトルは「この街で」。つい先程、三宮さんと共同で作曲したばか
りの、できたてのホヤホヤ、まだ湯気が立っています(笑)。

三宮 直前まで変更がたくさんあって、ちゃんと覚えてるかな。考えたコー
ドが分からなくなってきているんじゃないかな(笑)。

新井 ひとつの歌が誕生する瞬間に、皆さんは立ち会っているわけです。
 まず、作詞を朗読して、それを三宮さんのピアノ演奏で歌ってみましょう。

 この街で生まれ
 この街で育ち
 この街で出会いました
 あなたとこの街で

 この街で恋し
 この街で結ばれ
 この街でお母さんになりました
 この街で

 あなたのすぐそばにいつも私
 私のすぐそばにいつもあなた
 この街でいつか
 おばあちゃんになりたい
 おじいちゃんになったあなたと歩いて行きたい

 (ピアノ間奏)

 坂の上に広がる青い空
 白い雲がひとつ浮かんでる
 あの雲を追いかけ
 夢を追いかけて
 喜びも悲しみも
 あなたとこの街で

 この街でいつか
 おばあちゃんになりたい
 おじいちゃんになったあなたと歩いて行きたい
 (大拍手)

新井 この街でおばあちゃんになりたいというくらい大好きな街ってことで、
これは松山市に対する最大の誉め言葉でしょうね。
 この言葉を拝見した時、松山の人たちは本当に松山のことを愛しているんだ
なと思いましたね。
 日本ペンクラブ「平和の日」松山の集いで、いつのまにかこんなラブソング
ができてしまいましたね。

三宮 こういう会が、集いが開けるっていうことが、平和の喜びだと思います
ので、そんな平和がずっと続きますように祈っております。

               文章=理事・会報委員会委員長 清原康正

(次号は、トークの4組目、井上ひさしさんと落合恵子さんの対談を掲載します。
どうぞお楽しみに)

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■シンポジウムのご案内              <<※終了しました>>

「ネットが変える、活字も変わる? 〜東京でアジアの <言論> を考える〜 」

開催日 : 2005年10月15日(土)13時開場・13時30分開演・16時終了(予定)
場 所 : 上智大学 7号館 14F 特別会議室
入 場 : 無料
定 員 : 240名(予約不要)
主 催 : 日本ペンクラブ、上智大学ソフィア会共催

内 容 : 日本、中国、韓国など、アジア地域で、ネットによる表現活動を行っ
ている立場と、主に活字(手書き)で活動を展開している立場、その両方の出
演者によって、表現の自由をめぐるディスカッションを行います。

プログラム :
1)開会挨拶
 猪瀬直樹 (日本ペンクラブ理事・言論表現委員長・作家)

2)パネルディスカッション
パネリスト
井上ひさし(日本ペンクラブ会長・劇作家・作家)
 浅田次郎 (日本ペンクラブ理事・言論表現委員・作家)
 山田健太 (日本ペンクラブ理事・電子メディア委員長・専門はメディア論他)
 湯川鶴章 (時事通信社編集委員・専門はITなどの先端技術)
 葉 千 栄 (ジャーナリスト・東海大学教授・専門は現代中国文化社会論) 
   
コーディネーター
 日垣 隆 (日本ペンクラブ言論表現副委員長、作家・ジャーナリスト)

総合司会 
 篠田博之 (日本ペンクラブ言論表現副委員長、『創』編集長)

問合せ先 : 日本ペンクラブ事務局

みなさまのご参加をお待ちしています!

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■新刊のお知らせ

『こころの羅針盤(コンパス)』
 五木寛之選・日本ペンクラブ編・光文社文庫・本体価格552円+税

「声に出して笑ったり、ため息をついたり、なるほどなあとうなずいたりと、
私自身、人生を三十回生きたような感じがした。才気あり、含蓄あり、厭味
あり、教養あり、風格ありと、活字を読む楽しみこの一冊につきる。」
(選者まえがきより)

 30人の書き手による、こころと人生のエッセイを集めた奥ゆき深いアンソ
ロジー集です。

......執筆者......
長田弘、川上弘美、田口ランディ、村上春樹、椎名誠、藤原新也、柴門ふみ、
林真理子、穂村弘、曾野綾子、佐藤正午、浅田次郎、鎌田實、中島らも、
ビートたけし、中村うさぎ、林望、阿川佐和子、灰谷健次郎、阿川弘之、
星野博美、江國香織、山田詠美、辻仁成、瀬戸内寂聴、小川洋子、
倉橋由美子、ひろさちや、清水義範、城山三郎
----ふとこころの震えを感じたとき、羅針盤となる30人の先達の声。

(2002年10月 光文社より四六版として刊行したものを文庫化)

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『撫子が斬る』女性作家捕物帳アンソロジー
 宮部みゆき選・日本ペンクラブ編・光文社文庫・本体価格1048円+税 

時代小説でありながらミステリーとしても存分に楽しめる、色とりどりの
傑作「捕物帳」が一冊に!巨匠から新鋭まで当代を代表する人気女性作家の
饗宴、15編。

......執筆者......
宇江佐真理、小笠原京、北原亞以子、澤田ふじ子、杉本章子、杉本苑子、
築山桂、畠中恵、平岩弓枝、藤水名子、藤原緋沙子、松井今朝子、
宮部みゆき、諸田玲子、山崎洋子

全国の書店で好評発売中です。

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■ペンクラブ「電子文藝館」のご案内

9月〜10月に新しく掲載された文藝作品です。

*小説
崎村 裕(さきむら ゆたか 作家)「本量さん」
山村 正夫(やまむら まさお 小説家)「断頭台」
杉本 利男(すぎもと としお 小説家)「暮れ烏」
豊田 一郎(とよだ いちろう 小説家)「夢幻泡影」

 閲覧はすべて無料です。ぜひご覧ください。


http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/index.html

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「ぺんぺん草」

 このメルマガに掲載しましたように、3月3日の「平和の日」の集いで、
『この街で』という歌が生まれました。
 作詞は新井満さん、作曲は新井満さんと三宮麻由子さんです。

 このメルマガを作成している編集人2人も、当日、松山市の会場で聞き
ましたが、胸がじーんと熱くなるようなメロディと歌詞でした。
 
 「平和の日」の集いは、来年2006年3月3日は岩手県盛岡市、2007年は
秋田県秋田市での開催が決定しています。
 日本ペンクラブでは、来年の出演者などを決める準備をしています。
これからも、地元のみなさまと一緒に、すばらしい催しにしていきたい
と思います。