メールマガジン「P.E.N.」バックナンバー

日本ペンクラブ・メールマガジン「P.E.N.」第29号2005年7月22日

第21回平和の日の集い(松山市)より 対談1〜嵐山光三郎VS立松和平 その2
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
┌---------------------------------------------------------------┐
 前号に引き続き、今年3月、愛媛県松山市にて開催した「平和の日」
の集いより、対談の要旨をお送りいたします。

 嵐山光三郎さんと立松和平さんのトーク、その2です。
└---------------------------------------------------------------┘

■リレートーク1「平和の日に想う温泉」〜立松和平VS嵐山光三郎 その2

立松 川端康成にしても志賀直哉にしても、本当に長逗留ですよ。温泉でゆっくり
長逗留するのが湯治場で、それが普通にあったんですね。

嵐山 意外な人では、安部公房や三島由紀夫も温泉好きだったんですね。湯に入っ
ていると、元気になるんですよ。僕は山の湯に行くことが多いけど、湯が熱いから
水でうめると、そういうところには温泉奉行のおばさんがいて怒るんですね。僕は
ぬるい湯にダラダラつかっているのが、好きなんだよね。

立松 栃木県にぬるい温泉があって、天井からぶら下がっているヒモにつかまって、
6時間ぐらい入っていたことがあったなあ。九州の寒の地獄では、ドラム缶で焚き
火をして、それにあたりながら温泉ならぬ冷泉に入った。あれはもう拷問だよね。

嵐山 冷たい温泉は神経痛やリューマチに効く。湯に貴賤なしです。湯は湯の上に
湯を作らず、湯の下に湯を作らず...、それが湯の民主主義です。今は温泉原理主義
みたいなのがあって、いちいちうるさいでしょう。鬼の首とったみたいに騒ぐなっ
ていうの。

立松 入湯剤を入れて問題になった温泉もありましたね。嵐山さんは入湯剤を加え
るのはいい、と言ってましたね。

嵐山 いいんですよ、サービスですよ。別の温泉のエキスを加えたブレンドだから
ね。

立松 冬の知床の露天の温泉に入っていると、熱い湯なんだけど、頭がマイナス12
度くらいで、身体は茹でられている。頭髪は凍ってバリバリになっているんですね。
あれは血圧には悪いだろうね。

嵐山 それが気持ちいいんですよ。顔から下が熱くて、顔から上が冷えているでし
ょう。二色アンパンの味みたいでね。自分が何が何だかわからないコーコツ状態と
いうのも気持ちいいもんですよ。これが温泉の快楽なんだなあって。

立松 温泉の楽しみっていろいろあるけど、スタンダードで言うと、お世辞じゃな
く、道後温泉でしょうね。

嵐山 道後温泉は湯量にもめぐまれて、ゆったりしてぜいたくなもんです。だけど、
日本じゅうで温泉を掘り過ぎです。温泉付きマンションなんてのを造るから、湯量
が減っちゃう。問題にすべきは、どこもかしこも温泉掘って商売しようというとこ
ろですね。

立松 何日もゆっくりと逗留して、小説の一本も書こうかというところはなかなか
ない。

嵐山 板前さんが料理を毎日変えるのが大変だからと、旅館のほうも長期逗留を嫌
うようになった。僕が温泉に行くようになったのは、20年前に吐血して病院に運ば
れてからで、露天風呂に入っていると、天然の力を温泉や周りの自然からもらえま
すね。

立松 大学時代の仲間と温泉に入り、その後で俳句会をやる。これがみんな下手で、
笑っちゃうんですが、それがまたいいんですよね。「山燃えてひとつひとつの紅葉
かな」という句を作ったことがあった。

嵐山 僕も温泉に行って句を詠むんだけど、どんな句だったか、もう忘れちゃった
な。

立松 じゃあ、嵐山さんの次の本の題名は『温泉老人』で決まりだな。

嵐山 なるほど。こういうのも温泉の効用、ということですな。

                 文章=理事・会報委員会委員長 清原康正
(次号は、阿刀田高さんと浅田次郎さんの対談を掲載します。どうぞお楽しみに)

=====================================
■公開講座のご案内
日本ペンクラブ発「ペンの学校」

 春から始まった文学セミナー「ペンの学校」も、8月で第5回めとなります。

「作家の眼、創作の芽」というテーマで、自作を生み出すきっかけとなる着眼点、
つかみ取った作品が芽生える瞬間について、毎月1人ずつ、さまざまな書き手が語
ります。

 これからの講師は、ごらんの通りです。

第5回 8月20日(土)15:45〜17:15 椎名誠(作家)
第6回 9月17日(土)15:45〜17:15 立松和平(作家)

受講料(税込)各1回 カルチャーセンター会員3,150円 一般3,670円

会 場 朝日カルチャーセンター 
    新宿住友ビル(新宿区西新宿2-6-1)

交 通 地下鉄 大江戸線「都庁前駅」A6出口直結
    JR「新宿駅」西口より徒歩8分

お申込み先・お問い合せ先  朝日カルチャーセンター 電話03-3344-1945(直)
              (月)〜(土)10:00〜18:00(日・祝日は休み)

 どうぞご参加ください。

=====================================
■ペンクラブ「電子文藝館」のご案内

 6月〜7月に新しく掲載された文藝作品です。

*招待席
稲垣 足穂(いながき たるほ 作家)短編二つ「散歩しながら」「天文台」
石濱 金作(いしはま きんさく 作家)「ある死ある生」

*評論・研究
片岡 鐵兵(かたおか てっぺい 作家)「止めのルフレヱン」

*小説
林 房雄(はやし ふさお 作家)「林檎」
佐佐木 茂索(ささき もさく 作家・編集者)「おぢいさんとおばあさんの話」
今 東光(こん とうこう 小説家)「痩せた花嫁」

*主権在民史料
坂本 龍馬(さかもと りょうま)「船中八策」

*随筆
和泉 鮎子(いずみ あゆこ 歌人)「二人の時頼」
渡辺 通枝(わたなべ みちえ 随筆家)「野の菊」
小田 実(おだ まこと 小説家)「ぜひ言いたい二つ」

 閲覧はすべて無料です。ぜひごらんください。
http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/index.html

=====================================
「ぺんぺん草」

 ペンクラブ会長、井上ひさしさんのテレビ出演のお知らせです。
 
 「週刊ブックレビュー」(NHK衛星第2放送)
 放送日 7月24日(日)午前8:00〜8:54  
 再放送 7月25日(月)同日深夜0:00〜0:54

 特集コーナーで、井上ひさし会長が出演します。
 そのなかで、日本ペンクラブの活動をご紹介する予定です。
 ぜひごらんください。