メールマガジン「P.E.N.」バックナンバー

日本ペンクラブ・メールマガジン「P.E.N.」第28号2005年6月30日

第21回平和の日の集い(松山市)より 対談1〜嵐山光三郎VS立松和平 その1
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 日本ペンクラブは、1985年より、毎年3月3日に、全国各地で「平和の日」の集
いを開催してきました。

  第21回めとなる今年は、愛媛県松山市の総合コミュニティセンター・キャメリ
アホールで、松山市・日本ペンクラブの主催によって行われました。

 約1000人のみなさんにご来場いただき、松本侑子(作家)と森ミドリ(音楽家
・エッセイスト)の司会で進めました。

 今年のテーマは、「平和の日に想う 温泉・ものがたり・ことば・私たちの暮
し」。
 以下の8人の書き手たちが出演して、4組にわかれて対談を行いました。

1 嵐山光三郎(作家) VS 立松和平(作家)
2 阿刀田高(作家) VS 浅田次郎(作家)
3 三宮麻由子(エッセイスト) VS 新井 満(作家)
4 落合恵子(作家) VS 井上ひさし(作家・劇作家)

 このメールマガジン「P.E.N.」では、対談の要旨をこれから順次、ご紹介し
ます。
  まず最初は、嵐山光三郎さんと立松和平さんのトークです
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■リレートーク1「平和の日に想う温泉」〜立松和平VS嵐山光三郎 その1

立松 嵐山さんと僕は、深沢学校の同窓生なんですね。『楢山節考(ならやまぶし
こう)』を書いた作家・深沢七郎さんが埼玉県菖蒲町にラブミー農場を作って、そ
こに出入りしていた時の同窓生です。

嵐山 僕なんかは行儀見習いだったけど、立松さんは深沢さんと小説を書く競争を
やったんですよね。

立松 文芸誌「すばる」の編集長で作家の石和鷹(いさわたか)さんが連れて行っ
てくれましてね。僕が35か36だったかな。石和さんに仕組まれて、小説書きの競争
をしたんです。
 泊まり込みで、朝起きると、「今日の朝食、エルビス90分」「ビートルズ80分」
とか書いてあるんですよ、深沢さんの字で。
 エルビス・プレスリーを90分聴いて、「ああ、お腹いっぱいになったね」という
朝ご飯なんで、どこがお腹いっぱいになったのかなと思いながら、奥の部屋で向か
い合って、用意ドンで小説書き競争をするんです。
 僕は元気で体力がありますから、がーっと書くわけですよ。深沢さんはチョボチ
ョボ書いて、すぐ疲れちゃう。普段だと、すぐどこかへ行っちゃうんだけど、僕が
書いているから、しようがないなと、また書き出す。
 僕も疲れて、どこかへ行きたくなると、そういう時に限って深沢さんが書いてい
るんですよね。朝から晩まで何枚書いたかという競争なんですが、いつも僕が圧勝
で...。

嵐山 そのころ、僕は平凡社の編集者でした。味噌づくりを手伝ったり、外で風呂
を炊いたり。深沢さんの風呂炊きは、電柱1本入れてたでしょう。電柱がコンクリ
ートに変わって、昔の木の電柱をもらってきて、1本丸ごと炊くんですよ。風呂釜に
5メートルぐらい電柱が突っ込んである。面白い人でしたね。

立松 ナスとかキュウリが成っていると、それにヌカミソをつけて巻いちゃうんだ
よね。

嵐山 ああ、あれは僕のナスの漬物の活き作りを実践したんだ。僕が料理本に書い
た漬物で、大会で優勝した。ヌカミソをコップに入れて、鉢植えのちっちゃなナス
を成ったままで漬けちゃうんですよ。前の晩から漬けておいて次の日に外すと、ち
ゃんと漬物になっているわけですよ。

立松 深沢さんは畑に生えているナスにヌカミソを塗りたくっていただけでしたよ。
茎まで漬物になって、くたっとなってしまう。でも、小説がすごくいいんで、僕は
深沢さんに心酔してました。それはともかく、われわれのテーマの「温泉」の話を
しましょう。ここの道後温泉は聖徳太子ゆかりの場所で、今から1400年前にすでに
あったという記録がある。日本で最も古い、由緒ある温泉ですね。

嵐山 夏目漱石が松山に来たころにできたのが今の道後温泉の本館(共同湯)です
ね。漱石は松山の後は熊本の五高に行ってますが、熊本市内には温泉がなかった。
熊本からロンドンへ行って、神経衰弱になっちゃった。日本へ帰って来て、また松
山に来れば、長生きできたと思うんですよ。精神的なストレスが原因で胃が痛いわ
けだから、温泉が効くんですよね。修善寺の大患といって、友人が伊豆・修善寺の
温泉に連れて行って、そこで胃潰瘍による多量の吐血をして、死にそうになる。九
死に一生を得たものの、6年後に50歳で亡くなってしまうんです。だから、晩年は
温泉地で過ごせばよかったのにと思いますよ。

立松 昔の作家って、なぜ、あんなに温泉に行ったのかなあ。

嵐山 一高の貧乏学生だった川端康成が、なぜ、あんなに温泉に行ってたか、不思
議だったので調べてみたら、本郷の下宿にいるより、湯ケ島温泉のほうが安かった
んですよ、食事付きで...。今はそんな温泉、ないですよね。

                 文章=理事・会報委員会委員長 清原康正
(続きは、次号に掲載します。どうぞおたのしみに)

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■公開講座のご案内
日本ペンクラブ発「ペンの学校」

 春から始まった文学セミナー「ペンの学校」も、7月で第4回めとなります。

「作家の眼、創作の芽」というテーマで、自作を生み出すきっかけとなる着眼点、
つかみ取った作品が芽生える瞬間について、毎月1人ずつ、さまざまな書き手が語
ります。

 これからの講師は、ごらんの通りです。

第4回 7月16日(土)15:45〜17:15 吉岡忍(ノンフィクション作家)
第5回 8月20日(土)15:45〜17:15 椎名誠(作家)
第6回 9月17日(土)15:45〜17:15 立松和平(作家)

受講料(税込)
 7月〜9月全3回 カルチャーセンター会員7,870円 一般9,450円 
 各1回     カルチャーセンター会員3,150円 一般3,670円

会 場 朝日カルチャーセンター 
    新宿住友ビル(新宿区西新宿2-6-1)

交 通 地下鉄 大江戸線「都庁前駅」A6出口直結
    JR「新宿駅」西口より徒歩8分

お申込み先・お問い合せ先  朝日カルチャーセンター 電話03-3344-1945(直)
              (月)〜(土)10:00〜18:00(日・祝日は休み)

 どうぞご参加ください。

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■ペンクラブ「電子文藝館」のご案内

 6月に新しく掲載された文藝作品です。

*招待席
三原 誠(みはら まこと 小説家)「白い鯉」
犬養 健(いぬかい たけし 作家・政治家)「亜刺比亜人エルアフイ」
井上 清(いのうえ きよし 歴史学者)「近代天皇制の確立 新しい権力のしくみ」
池谷 信三郎(いけたに しんざぶろう 小説家)「橋」

 閲覧はすべて無料です。ぜひご覧ください。
http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/index.html

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■日本ペンクラブ編 新刊のご案内

『鉄路(てつろ)に咲く物語』西村京太郎選/光文社文庫/533円+税/6月20日刊

鉄道ミステリーの重鎮・西村京太郎が精選した画期的アンソロジー!
鉄道にまつわる11編の傑作短編のコレクションです。

 芥川龍之介「蜜柑」
 浅田次郎 「青い火花」
 綾辻行人 「鉄橋」
 北村 薫 「夏の日々」
 黒井千次 「子供のいる駅」
 志賀直哉 「灰色の月」
 西村京太郎「殺人はサヨナラ列車で」
 宮本 輝 「駅」
 村田喜代子「鋼索電車」
 山本文緒 「ブラック・ティー」
 E・ヘミングウェイ「汽車の旅」

 ぜひ書店でお求めください。

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「ぺんぺん草」

 ペンクラブの理事は、2年ごとに選挙で改選されます。
 先月5月に総会・新理事会があり、会長として、引き続き、作家・劇作家の井上
ひさしさんが承認されました。

 新しい理事としては、椎名誠さん、辻井喬さん、なかにし礼さん、西木正明さん、
山田健太さん、吉永みち子さんが、選出されました。

 新しい役員・理事40名は、ペンクラブのホームページに掲載しています。どうぞ
ご覧ください。
http://www.japanpen.or.jp/soshiki/official.html