メールマガジン「P.E.N.」バックナンバー

日本ペンクラブ・メールマガジン「P.E.N.」第12号2004年6月4日


第20回「平和の日」びわこの集い(滋賀県大津市)より 対談1〜立松和平VS夢枕獏

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 日本ペンクラブは、1985年より、毎年3月3日に、全国各地で「平和の日」の集
いを開催しています。
 第20回めとなる今年は、滋賀県大津市、打出浜のびわ湖ホールで、滋賀県・大津
市・日本ペンクラブの主催によって行われました。

 司会は高橋千劔破(作家)と松本侑子(作家)、1400人をこえる方々にご来場
いただきました。

 今年のテーマは、「平和の日に想う いのち・万葉・こども・水」。
 以下の8人の書き手たちが出演し、4組にわかれて対談をしました。

1 立松 和平(作家)VS夢枕  獏(作家)
2 俵  万智(歌人)VS中西  進(学者)
3 落合 恵子(作家)VS吉岡  忍(ジャーナリスト・ノンフィクション作家)
4 阿木 燿子(作詞家・作家)VS井上ひさし(作家・劇作家)

 メールマガジン「P.E.N.」では、対談の要約を1組ずつ、ご紹介します。
 まず最初は、立松和平さんと夢枕獏さんのトーク。琵琶湖の生態系について語り
あいました。

対談1〜立松和平(作家)VS夢枕獏(作家)
テーマ「平和の日に想ういのち」

立松 琵琶湖のブラックバスとブルーギルのことをずっと考えてきました。これは
大変な問題であり、そのことを文学者として表現したいと思い、子どもが不思議な
術を使って琵琶湖の生態系の中に潜り込む『魚になった三兄弟』という本を書いた
時、國松滋賀県知事から「よく書いてくれた」という手紙がきて、琵琶湖ルールを
作るということを知りました。琵琶湖の自然環境を守ることは非常に大切ではない
かと考えているんですが、釣り人の夢枕さんとして、琵琶湖はどうですか?

夢枕 日本の淡水の水域の中で、いちばん重要な水域ですね。琵琶湖の環境と生態
が従来通りに保存されていれば、日本のどこかの水系と生態系がダメになったとし
ても、琵琶湖の魚種を使って復活させることができるんですよ。淡水の生態系の貴
重な保存のシステムを持った湖です。ところが、最近ではホンモロコが手に入らな
くなり、高級魚のヒラメと同じ値段になってしまいました。ブラックバスとブルー
ギルがものすごく増えて、在来種は激減している。ブラックバスをリリースしない、
つまり再放流禁止という
琵琶湖ルールはまことに結構なことで、本当によかったと思っています。

立松 僕は琵琶湖のニゴロブナを使ったふなずしが大好きなんですが、湖岸のコン
クリート護岸と水質汚染でニゴロブナの産卵場所がなくなったことに加えて、稚魚
が外来種のブラックバスに食われてしまって、減ってきているんですね。琵琶湖か
らニゴロブナが姿を消してしまうということは、ふなずしもなくなるということで
す。おそらく奈良時代あるいはそれ以前から続いてきた文化のひとつが消えてしま
うことなんです。これは食文化の問題だけではなく、ニゴロブナの生態系、琵琶湖
全体の自然環境、人の生き方、国のあり方までが変わるということですね。イワト
コナマズやビワマスも少なくなりました。

夢枕 もともと日本にはいなかった外来種が入ったことで、生態系がほとんどダメ
になってしまっています。ブラックバスは日本中に広がっていて、現在は秋田県の
湖にもいます。ほとんど生態系がダメになってしまった。冷たい水域には生息しな
いと言われているブラックバスなんですが、スモールマウスバスというブラックバ
スの仲間は、冷たい水域でも生きていけるんですよ。だから、イワナやヤマメが生
きている水域にも侵入してしまうんです。僕はいろんなところで釣りをやるんです
が、ブラックバスの問題の渦中の時に、ルアーフィッシングのテレビ番組でブラッ
クバスの釣りをやって、撲滅運動をやっている人たちから責められたことがありま
した。

立松 ブラックバスそのものに罪はないし、食べると美味しいんですがね(笑い)。

夢枕 スズキに似た味で、淡白ですね。

立松 ブラックという名がいけないというので、ビワバスという名に落ち着いた。
ここでは琵琶湖ルールという条例でリリースさせないシステムを作っていますが 、
これは琵琶湖だけの問題ではないと思います。

夢枕 バス釣り自体は面白い。釣りはスポーツという考えが日本にも定着してきま
した。
ゲーム性ではアユと似てます。

立松 四国の四万十川にも、ブラックバスとブルーギルが出てきています。昭和40
年代くらいまでは、アユがたくさんいた。それが今は、あまりいなくなってしまっ
た。琵琶湖から稚アユを入れたら、バスまで入ってきた。全国の水の生態系にとっ
て、いかに琵琶湖が大切か、ということですね。

夢枕 四国の川では、かつては川中からスイカ、キュウリの匂いがしていた。それ
はアユの匂いなんですね。琵琶湖の稚アユを四国で大きくして、全国の漁協に回し
て放流しているのですが、最近では水が冷たくなると発病する冷水病が増えてきて
ます。

立松 そのアユをカワウが食べてしまう。カワウはここ5年ぐらいで異常繁殖して
います。海岸線がなくなって、川を遡っているんじゃないかな。アユをめぐる自然
環境はますます悪化してますね。自然環境を変えるというのは、かつてあったもの
を捨てることなんですよ。

夢枕 海でも自然環境が悪くなっていますが、琵琶湖の大切な環境を、地元の方々
と一緒に守っていきたいですね。

立松 琵琶湖は全国の自然環境とつながっている大切な「聖域」です。平安時代の
紫式部や清少納言が見ていたような状況に近づけたいものです。
                     〜構成・清原康正(文芸評論家)〜

 次回は、俵万智(歌人)VS中西進(学者)のトーク「平和の日に想う万葉」を、
掲載します。

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■ペンクラブ編の書籍のご案内
 新刊が2冊、重版が1冊出ました!

1)最新刊『ただならぬ午睡』
(江國香織選・光文社文庫・476円+税・2004年5月20日発行)

 現実があやうくなるほどの、めくるめく鮮烈な恋の話8編をおさめた小説集。
 選者・江國香織さんのセンスが冴えるセレクションです。

目次
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 河野多惠子「朱験」
 安西水丸「ホテル・ダンディライオン」
 江國香織「十日間の死」
 佐藤正午「夏の情婦」
 村上龍「シャトー・マルゴー」
 平林たい子「私は生きる」
 チェーホフ「かわいい女」


2)最新刊『わたし、猫語(ねこご)がわかるのよ』
(光文社・1400円+税・2004年5月25日発行)

 ネコと暮らす27人の作家たち......いつもと異なる意外な一面を垣間見る珠玉のエ
ッセイ集

目次
 浅田次郎「百匹の猫」
 野村正樹「歌舞伎町から来た天使」
 中原道夫「猫が鼠を−−「ふじ」の思い出−−」
 難波利三「猫バカ日記」
 久保田匡子「シルエット」
 田井友季子「サンちゃんの手紙」
 太田治子「チャアおばさん」
 田才益夫「コービーからの手紙」
 高田宏「風が吹けば桶屋が儲かる」

 下重暁子「猫想い」
 岩淵喜代子「八重桜」
 筧槇二「野良猫異聞」
 西木正明「吹き溜まりのプーコ」
 河野實「チロはどこへ」
 畠山拓「ノラや」
 志茂田景樹「艦長モモの死」
 谷本多美子「しなやかにわがままに」
 米原万里「白ネクタイのノワ」

 出久根達郎「猫の似顔絵」
 畑裕子「猫の貞節」
 川田靖子「猫の成る木」
 眉村卓「ペケのこと」
 つかだみちこ「タマとリリー」
 いわたとしこ「猫おばさんの話」
 吉岡忍「ビンラディンと暮らす」
 水樹涼子「ネコたちのレクイエム」
 立松和平「タマ−−母親の威厳」

 森ミドリ−−あとがき
(次号のメルマガで、あとがきの全文を掲載します)


3)重版『それでも私は戦争に反対します。』
(平凡社・1600円+税) 第6刷!
 おかげさまで、第6刷が発行されました。本の帯が変わりました。

 第1刷〜第4刷の帯
「イラク戦争から自衛隊派遣へ この先に何があるのか?」

 第5刷以降の帯
「ゲルニカ、南京、広島、長崎、ソンミ、パレスチナ、ファルージャ これが現
実だ!」

 3冊とも、全国の書店で好評発売中です。どうぞご注文下さい。

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■催しのご案内

文化庁主催『河合隼雄文化庁長官トークサロン』

第2回めは、日本ペンクラブ会長 井上ひさしとの公開対談です。
このトークサロンは入場無料(申込制)です。

▼出演者
河合隼雄(文化庁長官)
井上ひさし(日本ペンクラブ会長)

▼日 時 
平成16年6月24日(木)19:00〜20:30(18:30開場)

▼会 場 
丸ビル7階ホール(東京都千代田区丸の内)

▼定 員  
300名(定員を超える場合は抽選となります)

▼申込方法
E−Mailまたは往復はがきでお申し込み下さい。 <6月14日(月)必着>
  
○E−Mail(下記の1.2.をご明記の上、送信してください)
  1.件名欄→「トークサロンP2」と御記入ください。
  2.本文→参加者の「氏名」「性別」「年齢」「職業」を明記ください。
  (一通で複数名申込む場合は、参加者全員分を御記入ください。)

  申込みアドレス↓
   marunouchi@bunka.go.jp

○往復はがき
  1.往信欄に「トークサロンP2」に申込む旨と「氏名」「性別」「年齢」「職業」
   を御記入ください。
  (一通で複数名申込む場合は、参加者全員分を御記入ください。)
  2.返信はがきの宛先欄は、必ず申込人(代表者)の方の宛先を御記入ください。

◆「入場の御案内」を、いただいたメールアドレス宛、返信はがきの宛先にお送り
します。
<宛先・問合せ先> 
文化庁 文化広報推進室 「トークサロン2」係
〒100−8959 東京都千代田区丸の内2−5−1
TEL 03−6734−3161
http://www.bunka.go.jp/pr_fr1.html