こだま
かがい 詩人 1874(明治7)年〜1943(昭和18)年京都市生まれ。同志社に学びキリスト教的社会正義にめざめて弱者に目を向け、1903(明治
36)年、刊行直前に押収された『社会主義詩集』は我が国初の発禁詩集となった。掲載作は翌1904(明治36)年、木下尚江、岩野泡鳴ら59人の「同情
録」をそえて刊行された「花外詩集」の一編で、「わが詩集の発売禁止の翌朝」という注記をつけて抵抗精神を示した。「明治文学全集83 明治社会主義文学
集(一)」(1965年7月、筑摩書房刊)に拠り収録。電子文藝館では『社会主義詩集』から「失業者の自殺」を掲載している。
(わが詩集の発売禁止の翌朝)
昨夜、悲憤に寝もやらず
凭るゝ窓の下白う
朝顔咲けり美はしく、
花も自由に開くもの
人の思想の何ゆゑに
残忍の手に破はれし、
吁、戦場を楽園とかへ
花を咲せむ心をば
朝日を砕き、潮を堰き、
雲を消すべき術あらば
世紀を越えて勃興りたる
かの新思想圧すべし、
涙に湿し人々の
蒔きに蒔くなる愛の種子
失せず、滅びず、華開き
平和の世界とはなりぬべし。