招待席
こだま かがい 詩人 1874 - 1943 京都府に生まれる。 同志社に学びキリスト教的社会正義にめざめて弱者に目を向け、明治三十六年(1903)刊行直前に押収された『社会主義詩集』は我が国初の発禁詩集となった。掲載作はその一編。
鬼こそ堪(た)へめ、人なるを
長き苦しき労働(はたらき)に
身は青草の細くのみ
一たび肺を病みしより
血を喀(は)き逐(お)はる杜鵑(ほととぎす)
彼方此方(かなたこなた)とさまよひて
今はすみかもあら悲し
血に啼き狂ふばかりなり。
両国橋の欄干(らんかん)に
流るゝ水をながめしが
夜の鴎の侶(とも)となり
哀れや水に沈みけり
越中島の蘆の辺(へ)に
死骸(むくろ)は浮きぬ、そのあした
嗟呼(ああ) 惨(いた)はしや聞くさへに
これぞ働く人の果(はて)。