招待席

山口 孤剣

やまぐち こけん  評論家、詩人、歌人 山口県生まれ。1883(明治16)年〜1920(大正9)年。山口孤剣が37歳の若さで亡くなった時、堺利彦は日本社会 主義同盟の機関紙「社会主義」に寄せた追悼文で「演説にも文章にも常に火のような気焔を吐いていた」と人物像を描いている。いわゆる「大逆事件」前後ま で、この時期の社会主義運動の若い最も熱心な活動家であった。明治40年代には平民短歌を提唱した。掲載作は、1904(明治37)年9月、「週刊平民新 聞」初出。「明治文学全集83 明治社会主義文学集(一)」(1965年7月、筑摩書房刊)に拠り収録。

戦争を呪ふ

天の星、野べの百合にも平和やすらぎの、色は満てるを、しこいくさよ。


血の酒杯さかづき、舌つゞみ打つ醜人しこびとを、滅亡ほろびにさそふ天の火もがな。


バイブルを血汐に染めて、十字架を、つゝにかざらん宗教家おしへびとはや。


あめも知れ、つちも記すべし、此民このたみは、人をほふりて人の道と云ふ。


教会みやのうち、はやす悪魔の讃美歌よ、いくさに勝てと捧ぐ祈禱いのりよ。


醜国しこくに司人等つかさびとらよ、孤児みなしごと、寡婦はゝが血に泣く、声を聞かずや。


たゝかひの毒酒に酔へる人の子に、神の怒の鞭よね。

Yamaguchi Koken
日本ペンクラブ 電子文藝館編輯室
This page was created on Feb 28, 2009
短歌
総目次