各国ペンセンター代表による意見発表

 

2010年9月30日(木)10:00〜12:00

 

京王プラザホテル

 

 

 

セッションには各国ペンセンター代表が参加したが、9名があらかじめ論文を提出しており、それらをまとめた冊子が配布された。会議に参加したそのうちの7名が、それぞれ10分間ずつ意見発表を行った。

 

 

ヴァジル・アンドリュー(ルーマニア・ペンセンター)

 

世界の終末は、言葉によって回避できるだろうか。ルーマニアの作家たちは、10年かけて環境を破壊する人たちを指弾してきた。ルーマニアの金鉱から掘られるシアン化合物を使って破壊されるところだった環境を、私たち作家が阻止してきた。

人間は、お金のために環境を破壊する力を秘めている。私たち作家は、言葉の力というワクチンによって、これらの破壊力を回避しようとしているのである。

 

ルベン・ダリオ・フローレス・アルシラ(コロンビア・ペンセンター)

 

アマゾンの人たちがどのような考えを持っているかを話したい。

アマゾンはコロンビアの半分、40万ヘクタールを占めている。アマゾンには、植物が豊富にあり、人々がその中でジャガーに変身するといったような物語がたくさんある。こうした文学が生まれたのは、コカやアンビルといった幻覚症状をもたらす植物によって幻想的な旅ができるからである。

先住民にとって、言葉を作りだす重要な力が、コカの葉やアンビルの葉にはある。これによって、自分たちの新しい世界を開くことができる。しかしながら、先住民にとっての生活に密着したコカの意味と、大都市の人々のコカの意味するところは、違っている。

 

ヤン・ウィン・リョン(台北・ペンセンター)

 

台北には、オーストラリアより300万人も多く人が住んでいる。だから、私たちにとって自然環境というのは大事である。

開発者たちは、言葉しか持たない人(作家)を軽く見ている。しかし、都市計画が自然を破壊していることを忘れてはならない。車が路肩に止まれば、タイヤは草を踏みつぶしているのだ。

精神が清らかでなければ、自然環境を守ることはできない。しかしながら、小説家というものは、文化的であればあるほど社会に対して発言権を持たないものだ。

子どもたちにとっても環境は大事である。子どもたちが社会の中で大切な存在だということを、過小評価してはならない。

 

シルベスター・クロンシェ(フランス・ペンクラブ)

言葉の大切さ、環境を尊重することについて話したいと思う。地下水が汚染され、北極では氷山が減っている。私たちが生活しているこの世界は、20年後に環境破壊が進んでしまうのか。一昨日、いろいろなワークショップが開催された。私たち作家の使命は、グローバルに考えて連帯し、いろいろな対処法を考えなければならない、ということである。

 

クローディーヌ・エルフェ(フランス・ペンクラブ)

 

この冊子を読むのではなく、いろいろな小説から少しずつ抜粋したい。環境における言葉の役割について話したい。

サルトルの『八方ふさがり』の中から、「すべての人間に適応する文化は何もない」。

詩人の大岡信の言葉より、「木がたくさんの葉をつけて大きくなるように、詩人は人々の間を結んでいる橋である。橋とは、唇であり、耳であり、発する言葉なのである」。

詩人のアラン・ボスコーは、「私たちは何であるか。物に対して、私たちはどういう存在なのか。物とはいったい何であるか」と問いかけている。

神話の中でイシスはこう話している。「言葉の真実を守るために、そして、普遍的な価値を守るために、より大きな秘密を描くために」。

 

グスタフ・ムリーン(スロバキア・ペンセンター)

 

私は、ペンの会長であるばかりでなく、環境についての専門家である。この60年間にスロバキアをはじめとする世界の国々でどのような環境の変化が起こったか、私の研究結果のスライドを見ながら説明したい。

クウェートでは、毒が撒かれて道路が汚染されたけれども、3年ほど前には回復して、緑が見られるようになった。

1991年、チェコやポーランドから人々がやって来て、土壌を汚染した。しかし、1996年に調査すると、有害物質は減っていた。

1976年には、原子力発電所の事故が起きて、2人の人が亡くなった。放射能レベルは20倍にもなったが、その後の調査結果によって、汚染はそれほど深刻ではないと分かった。自然が闘うことで回復させたからである。

チェルノブイリの事故によって、900万人もの人が影響を受けた。しかし、そのデータは正しくない。放射能の環境は、ヒロシマ、ナガサキだけで正確に把握できるのだ。

自然は、環境を回復できるのである。

ホセ・ウィンデル・P・カピリ(フィリピン・ペンセンター)

 

東南アジアに近いために、オーストラリアに移住する人が増えている。移住した作家たちは、オーストラリアで受け入れられた。そこでさまざまな活動に参加している。

私たちは文化の多様性を持っている、と自覚することができる。

 

まとめ(井出勉事務局代理)

内容が多岐にわたっているため、結論は出さないことにする。ありがとうございました。 

 

(高木香織)

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