活動記録・レポート

日本出版学会/日本ペンクラブ 第3回合同シンポジウム報告
(ウェブストリーミングでも、ご覧いただけます)

「グーグル・ブック検索訴訟 新和解案をめぐって」
  〜何が変わったのか、今後の動向〜

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2009年12月18日(金) 午後6時半~午後8時半
東京電機大学(神田キャンパス) 7号館 丹羽ホール

 

【パネリスト】
 城所 岩生(国際大学 米国弁護士)
 齋藤 康弘(米国弁護士 ペンクラブ異議申立担当弁護士)
 三田 誠広(作家 日本文藝家協会副理事長)
 山田 健太(専修大学 日本ペンクラブ言論表現委員会委員長)

 司会:植村 八潮(東京電機大学出版局 日本出版学会副会長)

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 08年10月にグーグルの和解案(提訴は、05年9月=作家協会と10月=出版社)が、「突然のごとく」公表されてから、1年余。アメリカ発の、この事案は、文字通り、この1年間、世界各国を揺るがせ、いまも、揺るがせている。

 09年11月に「新和解案」が提示され、和解の対象は、世界各国から、英語圏(アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア)に限定されることになって、日本は、「和解問題」からは、逃れることが出来た。しかし、それは、本当に逃れることが出来たのか。いや、むしろ、体よく、「蚊帳の外」に追いやられただけで、グーグルが、引き起こした「ブック検索」の問題は、むしろ、対象のみ限定された和解が、当面の関係者だけで、成立した後、より厄介な形で、改めて日本を襲ってくるのではないか、そういう危機感を胸に秘めながら、日本ペンクラブ・日本出版学会の合同シンポジウム「グーグル・ブック検索訴訟 新和解案をめぐって 〜何が変わったのか、今後の動向〜」は、このシリーズ3回目のシンポジウムとして、12月18日、東京電機大学で、開催された。会場には、作家、編集者、研究者、学生など、この問題に関心を持つ人たち、約150人が、参加した。

 紙面の関係もあるので、すでに報道済みの新和解案には、ここでは、詳しく触れない。大きなポイントは、和解の対象が、英語圏に限定されただけで、グーグル側が主張し、現在も、続けているスキャン作業などの「原理」は、基本的に変わっていないということである。報告者の印象に残った各氏の発言を記録することに努めたい。

齋藤弁護士:訴訟日程の延期や和解案の変更など、状況が、どんどん変わる訴訟で、難しかった。いまも、変わり続けている。グーグルの対応は、「後だしジャンケン」という形で、「ずるい」面もあると思っていたが、インターネットの問題は、日々、変わる世界で、そういうスピード感が、今回の訴訟にも、ついて廻っていると思えば、こちらも、そのスピードについて行かなければならないのかなと思うようになった。新和解案は、英語圏に絞られて調整されるが、グーグルは、そこで、ブック検索の、いわば、「スタンダード」を構築して、改めて攻めてくるのではないか。その時に向けて、いまから、どう対応するのかということが、大事だろう。

 これまでの経緯を報告した城所弁護士の説明にあったように、01年のグーグル構想、04年の図書館プロジェクト発表、05年のアメリカ作家・出版社の提訴、08年和解案公表、09年の新和解案へ、という動きを見て来ると、グーグルのウエブ検索に続く、ブック検索実現への、いわば「10年計画」では、こうした対応の「曲折」も、すべて「織り込み済み」で、グーグルは、その目標に向けて、「着々と」進んでいるように、私には、思える。城所弁護士の新和解案の見通しでは、地裁で仮承認された新案は、10年1月末の異議申し立て期限、2・4の政府意見提出期限、2・18の公聴会というプロセスのなかで、それぞれの内容がどうなるかで、状況が、更に変わって来る可能性があるということだった。

三田:「和解」の内容はグーグルの違法行為を糺弾するものではなく、 あいまいなままの妥協にすぎず、裁判でグーグルの違法行為が認定されたわけではないので「判例」にもならない。
 従って、今後、日本の作家や出版社が新たに裁判を起こしても、参考となるような「判例」とはなっていない。

山田:一私企業が、ブック検索のデータを事実上独占するという状況は、変わらないし、「表現の自由」を脅かす恐れがあるという、不気味さは、何等変わらない。

 グーグル問題は、優れて、「表現の自由」の根幹を揺るがす問題で、私企業が、独占的に情報を「束ねる」ことの危険性は、検閲などファシズムにも通じる厄介なことだという認識を持つ必要があるだろう。次回のシンポジウムは、2月末か、3月初めに予定されている。

文責/大原雄(日本ペンクラブ理事・言論表現委員)


注)ストーミングビデオは、東京電機大メディアセンターのご協力により制作されました。こちらのストーミングのサイトは、日本ペンクラブWebサイトを離れ、日本ペンクラブ外のWebサイトへリンクされます。